造形教育の十年
北海道造形教育連盟10周年
昭和35年(1960年)7月30日 発行
造形教育の十年 10.9MB
連盟十年をむかえて
北海道造形教育連盟 委員長 野村英夫
(一部抜粋) 私どもは造形教育を通じて、子どもを明るく、すなおな、正しい人間に育てようと全道のみなさまたちと手をつなぎ、心をあわせて努力してまいりました。また私どもの努力によって少しでも造形教育が人間を作るのに大切な教科であるということを、広くすべでの人たちに理解していただこうと進んでまいりました。(中略)
昭和25年、札幌を会場として全国的な図画工作教育の研究大会が行われた時、“北海道美術教育会”(仮称)が誕生しました。これが今の造形連盟の前身でありました。その後連盟結成以来、札幌、旭川、函館、室蘭、小樽、帯広と、毎年各地を大会場として研究会を続けてまいりました。本年第10回の研究大会を網走で催すことになりました。
造形教育連盟20年
北海道造形教育連盟20周年
昭和45年(1970年)7月30日 発行
造形教育連盟20年 10.4MB
連盟発足の当時をしのんで
北海道造形教育連盟 前委員長 赤石 武士
(一部抜粋) 終戦後の荒れ果て疲れはてた国土と人の心。「此の中からどうやって明るさと心の豊かさを取り戻そうか」と、いう私ども造形教育に携わる者の共通意戯が、連盟を作る源になったと信じます。当時各地で行われる造形の要素を含む各種行事・研究会・講習会・出版事業などで顔を合せ、計画を練り、実施に移しているうち、お互いがしだいしだいに共通の目的を意識し合うようになりました。比の共通の白覚がこだわりのない話し合いとなり、自然発生的に発起人会の発足となったのでした。
今日の連盟は全道各地にぼう大な会員を維侍し、研究や実践の上でいずれの分野からも規制や枠付の制約を受けておりません。しかも内容においては新指導要領の改正内容に匹敵するものを既に数年前から系統表に位置づける程のレベルに達しております。
創造の炎
北海道造形教育連盟30周年
昭和55年(1980年)3月15日 発行
創造の炎P001~16717.2MB
創造の炎P168~244 8.1MB
創造の炎P245~274 2.1MB
創造の炎P275~327 3.9MB
「創造の炎」
北海道造形教育連盟 委員長 辻 悦平
(一部抜粋)札幌美育連盟は二十五年十一月北海道美術教育会と改称され更に二十六年十一月には北海道図画工作連盟となって再出発している。
この図画工作連盟では、準教科書の編集を手がけておりで次のようにその編集方針を示している。
「新教育の提唱以来、本道の実情に即した図画工作科の準教科書作成が全道実践家の声として要望されておりました。図画工作科のカリキュラム構成にあたっては地域性に立脚することが特に必要であり、更に学習の裏づけとして資料が豊富でなければ円滑に学習が展開できないことはいうまでもありません。準教科書編集は本道の図画工作教育振興のための緊急欠くべからざるものでありました。」
創造の大地
北海道造形教育連盟40周年記念誌
平成3年(1991年)7月20日 発行
創造の大地 6.0MB
創造の大地にたって
北海道造形教育連盟 委員長 佐々木 理温
(一部抜粋) ここで私個人の少々大昧な十年間毎の連習史の印象をお許しいただけるならば、次のように
なるのではないかと患われます。
「北海道図画工作達盟」の創立日昭和26年11月24日から、昭和34年3月「北海道造形教育達盟」への改称を含む最初の10年間は、造形教育の在り方と達盟組織の定着化がはかられた基盤確立期であり、北海道図画工作連盟時代といえます。
次は昭和35年頃から、いわゆる「指導の構築」のしめくくりをする人会となった第19回札幌大会の昭和44年辺りまでの10年間で、系統性を思考する造形能力の解明と内面的な指導の要素を含めて洗い出す指導の構築を軸に、華々しい論争が展開された理論構築期であり、指導の構築時代です。
そして昭和四45年頃から30周年を迎えた昭和55年までは、指導の構築推進の反省もあって地区サークルの実践研究尊重の雰囲気が強く出てきました。実践蓄積期であり、地区サークル主体時代ともいえる時期です。
虹色の造形
北海道造形教育連盟50周年
平成12年(2000年) 発行
虹色の造形 8.2MB
連盟誌発刊に寄せて
北海道造形教育連盟 委員長 芝木 秀昭
(一部抜粋) そして 今年、平成12年に北海道造形教育連盟は創立50周年を迎え、50周年記念誌を発刊することになりました。
現在の教育をめぐる状況は、第一の教育改革と言われる明治初期の学制発布、そして北海道造形教育達盟が発足した頃の戦後の新教育ヘの転換時期であった第二の教育改革に次ぐ第三の大きな教育改革を迎えています。今日、家庭や地域社会の教育力の低下が指摘されていますが、学校教育においても様々な課題に直面しており、学校教育は大きな転換点に立っているとの認誠をもって進んでいかなければなりません。今、学校教育には自ら学び、自ら考える力の育成、つまり「生きる力」を重視した教育を目指し「ゆとり」のある教育環境で、一人一人の子どもを大切にした教育活勤を展開していくことが求められています。
北海道造形教育連盟は、造形教育の基本理念を人間育成の基本教科・科目として位置づけ、感性・感覚・感情・表現という心の奥底の生き方そのものに関わることとして研究・実践を積み重ねてきました。
したがいまして、「生きる力」の育成が大切であると言われている現在、私たち造形教育に携わる者として、さらに意を強くして実践を積み重ね、研究を深めていかなければならないと痛感しています。
湧きあがる造形
北海道造形教育連盟60周年
平成22年(2010年) 発行
湧きあがる造形 7.3MB
連盟誌発刊に寄せて
北海道造形教育連盟 会長 菅原 清貴
(一部抜粋) 私達は子どもと共に、経験や体験を積み重ね、自らの感党を研ぎ澄まし、感性を磨いていくことが大切です。そして、みずみずしい豊かな感情を抱いてじっくりと、表現に結び付けていく。これが芝木先生の述べられている「心の奥底の生き方」なのだと思います。まさに「人間育成の基本教科・科目」であるわけです。
さて、平成23年7月は北海道で全国大会が開催されます。この大会は、全国造形教育連盟と日本教育美術連盟の共同間催という画期的大会となります。人間でいえば還暦を迎え、「第二の人生」を迎えた次の年に、60年間生きてきたその真価を問う場としてこの大会が閣催されるわけです。大会は、造形教育を通し、子どもたちにどのような資質や能力を培うのかを、広く社会に発信する場にしたいと考えています。この取組を胆なるイベントとしてではなく、造形教育というものが「人間育成の基本教科・科目」であることを、子どもに寄り添う価値ある授業の構築を通し、広く世の中に訴えるものとしたいと考えています。
心つなぐ造形
北海道造形教育連盟70周年
令和3年(2021年) 発行
心つなぐ造形 16.7MB
70周年記念誌 発刊に寄せて
北海道造形教育連盟 会長 森長 弘美
(一部抜粋) さて、6月に学校が再開されましたが、長い休校期間を経て登校した子どもたちの中には、喜びとともに不安や悩みを抱えている者がいたり、時間の停止と共に心の成長も止まり、やっとここから成長が始まったと思える者かいたり、いつもの新学期とは違った様相を呈していました。
大人でさえ、これまで経験したこともない惨禍の中で疲弊しているのですから、自分の気持ちを上手く表現できない子どもたちとって、コロナ禍で感じた苦悩を言葉にするのはとても難しいことと言えましょう。子どもたちのために学校は何かできるのか、厳しい規制の続く中で学習をはじめ様々な教育活動を確保していくためにはどうしたらよいのか、話し合い、考え、工夫する毎日が続きました。
そんな時、私たちの携わる造形教育の果たす役割はどうでしょう。言葉にならない思いを、色や形で表現すること。手を動かし、体を使い、心の中にあるものを見せること。思い通りにいかないことが多い今の状況で、自らが発想して製作し、完成させる喜びを味わうこと。まさに表現活動や図工・美術の時間は、心を解き放つ役割を担うことができると言えるのではないでしょうか。
70年の節目にあらためて造形教育の担う役割を知ることとなりました。